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星組『暁のロンバルディア』

<第15回>

▽星組公演『暁のロンバルディア』
▽宝塚バウホール1981年
作・演出・・・正塚晴彦
作品紹介・・・16世紀初頭のイタリア・ロンバルディア平原を舞台に、傭兵となった貴族の青年が、地位と城を手に入れた後に、自分が何を望んでいたのかを気づくまでを描く。出演は出演は峰さを理、秋篠美帆ほか。
作品評★★★★★☆☆☆☆☆
鑑賞日・・・2003年9月

▽正塚先生のデビュ-作。歌劇10月号(H14年)の作品評でも書かれていた『人間の精神の自立』というこの演出家の主題が、戦争という不条理なできごとを背景に描かれています。

主人公のフランソワ峰さを理は貴族でありながら、些事から母国を脱し、他国の傭兵となり、果ては一国の主にまでなるのだが、運命的に出会い愛し合うようになったアンヌ秋篠美帆の弟シモンが砲弾を受け死んでしまったことで、自らの歩んできた道を振り返り葛藤する。
その葛藤の後、最後には、数奇な巡り会わせで、敵となってしまった命の恩人を追いつめるのだが、この時すでに主人公は信念を確立しており、命令に背きその恩人を逃がしてしまう。しかし、部下たちもそんな彼をいつしか慕うようになり共に進んでいくことになるのだった。

僕は個人的に正塚作品は『命の尊さ』が主題であると思っていました。もちろん、この点を抜きに正塚作品は語れないと思うのですが、振り返って過去の作品を見てみると、『テンダ-・グリ-ン』においては、メイという女性の優しさにふれ、主人公ソ-ンが人間の心を取り戻していく。あるいは、『二人だけの戦場』においても、ライラという女性と出会い、戦争という極限状況の中で、人としてどうあるべきかを問うていく...。必ず寄り添う女性とともに、主人公がわずか2時間足らずの芝居の中で、人間的に大きく成長していく姿がはっきりと描かれています。デビュ-作である本作でも筋立ては全く一緒と言ってもいいでしょう(当然、演出面や構成においては作品ごとに違いがありますけどね)。

音楽を含めて全体のバランスが悪いように思ったので、評価は★5つです。

それにしても、まさかこの作品を見ることができるとは思ってもいなかったので、本当にスカイ・ステ-ジには感謝です。





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